第12回 エンジニアリングフェスティバル
ENGINEERING FESTIVAL The University of Tokushima−研究成果の公開−


研究力の牽引役「エンジニアリングフェスティバル」
−研究成果の発信がアイデアを生む研究交流・情報交換の場へ−

(The Dean of Faculty of Engineering)

   先日、NHK のクローズアップ現代で、“アイデアが世界を変える〜TED 究極のプレゼン〜”が放映されました。TEDは“広める価値のあるアイデアを18分以内で語るプレゼンイベント”として世界的に人気を集めています。TEDでの情報発信は、相手に分かりやすく的確に伝えるため、話し手は内容を十分吟味し、表現方法に様々な工夫を凝らさなければなりません。このためには、一度に多くの情報を出さずに、本当に伝えたいことだけを伝えることによって、理解が深められ、相手と情報を共有することができ、情報の一方通行でなく双方向での情報交換もできるようになります。アイデアや新しい考え方は、1人の天才が部屋の中にこもって、考えて考え抜いてひらめくことはごく稀です。学会・大会は、研究発表の場だけでなく、専門分野を同じとする相手と直接情報交換ができる場であり、議論をする中で、何らかのアイデアが生まれたことを経験された方も多いと思います。また、専門分野を異にする人に対しても、的確なプレゼンで情報交換ができれば、全く新しい視点でのアイデアが生まれることも期待できます。新しいアイデアを生むTEDプレゼンを心掛けたいものです。

   さて、「エンジニアリングフェスティバル」は、大学院ソシオテクノサイエンス(STS)研究部における数多くの優れた研究成果を学内だけでなく広く地域・社会へ公開、発信し情報交換する場であり、また、産業界へ研究シーズを提供することにより、共同研究、技術移転ならびに製品開発等に結びつけられることを目指して開催しているもので、今年で12回目を迎えます。

   今年度の「エンジニアリングフェスティバル」は、STS研究部における重点研究、若手研究、一般研究に関しての研究発表と研究部長裁量プロジェクト研究の成果発表に加えて、地域貢献を目的に設置された阿波銀行学術・文化振興財団に採択された助成研究成果についても報告いただくと共に、昨年度に発足しました工学部長表彰制度で受賞された方の内容についても紹介していただきます。また、今年度も連携研究の推進に向けて香川大学工学部、且l国総合研究所からも研究成果の発表をいただきますので、大学内の各関係機関からの発表を加えますと総計45件の発表となります。さらに、北九州市立大学教授上江洲一也氏による講演会も開催されます。なお、本年度より研究活性化策の一つとして発表が共同研究につながった連携研究や優秀な若手研究発表者に研究支援経費が付きますので活発なフェスティバルとなることが期待されます。

   大学における研究力は、優れた研究論文に加えて文部科学省の科学研究費補助金の採択件数が重要視されていますが、最近のSTS 研究部における科学研究費補助金の採択件数(採択率)は、平成21年度は63件(33.5%)でしたが、その後は83件(43.9%)、98件(45.8%)、111件(53.6%)と教職員の皆様の研鑽により着実に増加しており、本年度には当面の目標としていたSTS研究部の常勤者数(助教以上)に対する採択者率も50%を超えることができました。

   今年度も学内教職員、学生、連携機関、学外企業等から大勢の皆様の参加をお願いしますと共に、TEDライクな情報発信と活発な情報交換を通じて「エンジニアリングフェスティバル」が研究力の牽引役となり、STS 研究部の更なる発展に結び付けられることを祈念しております。

  

大学院ソシオテクノサイエンス研究部長
  大 西 徳 生